カント「永遠平和のために」(訳)萱野稔人 より
人類は――生物の一種である以上――ともかくも生存していかなくてはならない。そのため人類は肥沃な土地や安全な土地、気候の穏やかな土地を好む。それにもかかわらず氷のあふれる寒冷な土地や水のない砂漠にまでも人間が居住しているのはなぜだろうか。その人間たちはむりやりそういった土地に追いやられたから、という理由以外、考えられない。
彼らはその土地に、他の集団との戦争で敗れて追いやられたのか、それとも戦闘そのものを避けるために移り住んだのか、戦争以外の理由は思いつかないとカントは述べている。
それは「本性=自然」が人間をつうじて戦争を生じさせていることと同じである。
私はこの一節に特に印象深いものを感じた。文章表現は変更いたしました。 (mrmt)
ほんとうに人間というものは感情の動物であるように思えますね。歴史を重ねても進歩しない人間。ガザ地区の戦争は怒りの応酬でエスカレートしていくのが見て取れます。しかし、そこで子供が犠牲になる姿は、見るのも辛いことです。治療のすべもなくなって、苦痛を早く終らせることしかできない、という医師の絶望的な言葉が胸に突き刺さります。人間の本性の中にある、悪や闘争心を収めるためのものが宗教だったはずなのに、その宗教で人は対立して殺し合ったりする。どうしたらいいのでしょうか。