ユージン・スミスの写真展
- zensakka
- 4月30日
- 読了時間: 2分
東京都写真美術館でユージン・スミス写真展を見た。
彼の写真は芸術的でありながら、シンプルでわかりやすく、鑑賞する者の心に素直に入り込んでくる。
水俣病の写真『入浴する智子と母』という写真はあまりにも有名だが、この写真展では、彼がニューヨークのロフトに暮らしていた頃の、ジャズミュージシャンたちの写真や、割れた窓から街路を歩く人の姿を撮ったもの、また、アフリカのシュバイツァー博士の献身的な医療活動の様子を写したものなど、とても興味深いものばかりだった。
また、「ライフ」の記者として戦争写真も多く撮影し、沖縄戦においては砲弾の破片を全身に浴び、口蓋に怪我を負って、その後、食べ物を飲み込むのに大きな困難を背負うことになった。彼は1日10リットルほどのミルクを主食に、流動食のようなもので命をつなぐしかしかなくなったという。その上、水俣病の取材中で患者たちと座り込んでいたとき、〈チッソ〉側の社員たちから暴行を受け、頭に怪我を負い、それ以来、ひどい頭痛やめまいにさいなまれるようになった。そういった苦しみを和らげるためなのか、ウィスキーを大量に飲むようにもなって、アルコール依存にも苦しんだ。
ところで、彼の写真には、猫好きの痕跡が感じられる。ニューヨークの狭いロフトで飼われている黒猫が、トイレの便座で上手に用を足している写真。シュバイツァー博士の一連の写真の中では、チンパンジーが白い猫を抱きしめている写真もあった。
1978年、彼は自宅近くの食料品店に買っていたベイビーという猫の餌を買いに行き、そこで転倒して亡くなったのだった。59歳。
写真展は、恵比寿の東京都写真美術館で6月7日まで。

ユージン・スミスの写真展 へのコメント
私は写真家ユージン・スミス(1918~1978)のことをほぼ知らなかったので、この記事にコメントを書く資格はありません。この展覧会にはニューヨーク、ロフトの時代というサブタイトルがついています。ロフトとはマンハッタンの倉庫や工場を改装して画家や写真家が活動していた時代の作品群をこの展覧会では取り上げている。略歴を見ると日本および日本人とのかかわりが非常に強いことが分かりますね。
最初に彼が強い影響を受けたのはある日本人写真家に強い影響をうけてこの道に入っていったという。これは土門拳のことかと思いますが、違っていたらご免なさい。
沖縄戦での体験、水俣病とのかかわりは即日本、日本人とのかかわりであり、しかも弱者の立場から真実を鋭く見透している。これらはジャーナリズムの原点を見直すことが中心テーマになっていることがわかる。猫好きらしいところが興味深さを増幅している。