熊の禍の年
- zensakka
- 11月11日
- 読了時間: 2分

最近のニュースのトップは熊の被害である。熊によって命を落とした人が、もう何人もいる。警察や自衛隊が出動している。
この事態の背景には、今夏の異常な暑さによって、熊の餌になるドングリなどの木の実が大凶作となったことがある。あるいは過疎化によって、里山が荒廃したというような原因もあるともいう。地球温暖化が人間の生活スタイルによるものだとしたら、われわれは熊たちに対してとても罪深いと言わなくてはならないだろう。
しかし、まずは人命を守らなくてはならない、そんなジレンマがある。
冬期は、熊の餌になるものが自然界には少なくなる。だから熊は冬眠という手段を取るのだろう。そのために熊の体内の甲状腺ホルモンの量が減少する、ということが分かっている。冬眠直前には当然ながら過食期が来る。このとき熊たちは大量な食物を摂取して、体脂肪を増やす。もしニンゲンが一時にこんなに食べたら、血糖値が上がり、糖尿病の症状が現れる。しかし熊はインスリンの抵抗性をコントロールが出来て、糖尿病にならない遺伝子があるという。これを研究すれば、あらたな糖尿病の薬などができるのではないか、とも言われている。
生き物は各種ホルモンに支配されて生きているのである。私たちが「恋に落ちた」と感じることも、その本質は性ホルモンによるものとも言えるのだ。ロミオとジュリエットもさにあらん、である。
熊たちも、体内からのどうしようもない指令によって、この秋、暴れているのだと言える。生きているということは、そういう現象がぶつかり合う、という言い方もあるのだろう。
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